新刊案内「C規格の男」

けっこう昔。

格闘技全盛時代。

K-1のリングとPRIDEのリングが、大晦日の夜空を輝かせていたころ。

ヴァンダレイ・シウバがミドル級の絶対王者だったころ。

「あたし、ヴァンダレイ・シウバの子供が生みたいな」

とある既婚女性がふいに言った。熱烈な格闘技ファンであることを除けば、日本で生まれ育った普通の人と言える。

が、

「シウバの子供とか最高じゃない? 旦那の子供より、そっちが生みたい」

などと、彼女は言うのだ。

えええぇ???
衝撃の発想だった。

「それはまずくないか? 旦那さんがかわいそう」

「そうかな? シウバの子供だよ。旦那だって喜ぶに決まっている」

「そんなもんかな?」

「そんなもんだよ。だって、ピーター・アーツの子供だったらほしくない?」

ちなみに聞き手の女性のほうはピーター・アーツのファンである。

「……ほしいかも」

ピーター・アーツの遺伝子を受け継ぐ子供。超人的な肉体を持つ男気あふれるハーフの子が、わが子として育っていくところを、聞き手の彼女は想像した。彼女はその男の子の親なのだが、彼女自身は運動とは無縁なので、育てるには苦労するであろう。親としてわが子に何を示してあげられるかにつき悩むのだろう。そして、その悩みをわかち合う相手、すなわち伴侶としてのピーター・アーツを、彼女は想像できない。思いつくのはピーター・アーツの遺伝子を受け継ぐわが子だけ。

「でも、やっぱいい。なんか大変そう」

聞き手女性の答えが心外だったようで、

「大丈夫だよ。旦那と協力し合って育てればいいよ」などと、彼女は言ったが、

「だから、それはまずいって。嫁が旦那の子供を生まなくて、どうする? 旦那の遺伝子の否定だよ。旦那の遺伝子はいらないって宣言しているようなものだよ」

「たしかに、そのへんのふつーの男の遺伝子だったらイヤかもしれないけど、ヴァンダレイ・シウバの遺伝子だよ。旦那だって喜んで育てるに決まっている」

********

などという会話から、小説「C規格の男」は生まれた。

結婚と恋愛は違う、というのは、すでに市民権を得ている禁忌。

男にも女にも当てはまる禁忌。

美人と遊んでしっかり者と結婚するとか、
恋愛相手にトキメキを求めて、結婚相手に経済力を求めるとか。

しかし、ただそれだけではない。

女の場合は、もう一つあるのではないか?

結婚と恋愛は違う。
さらに子作りの相手も違う。

愛とか生活とかを度外視して、ただ純粋に、誰よりも強い子供を生み出したいという強烈な本能。
ためしに、何人かの女性に聞いてみたが、ピンとくる女性はすぐに来る。認めない女性は絶対に認めない。市民権を得ていない禁忌だから。

というテーマが、ミステリー小説になりました。

主人公、酒巻多江は、なよっとした三十路の女で、かなりモテます。A規格の男(結婚相手)、B規格の男(恋愛相手)、C規格の男(遺伝子抽出用の相手)、そして、かつての運命の人をふりまわしながら逃走します。

書名 C規格の男
著者 都生早秋
文庫版 316ページ
定価 722円+税
ISBN978-4-907930-80-6
地方小出版流通センター取扱商品

Kindleバージョンは250円です。

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